JP/EN

Encyclopedia of niime

niime百科百回達成記念
niimeゆく年くる年2023-2024

年越し“下剋上”放談

〈くる年編〉

2024 . 01 . 01

明けて新年2024年、皆さま、おめでとうございます!
本年も「niime百科」をどうぞよろしくお願いいたします!

〈ゆく年編より続く〉

玉木「ドバイが面白くて。昨年11月に行って来たんですけどね、基本その時期、雨は降らないのよ。しかも大雨が降ろうもんなら下水が溢れて街が水浸しになるけど、今は降らないから大丈夫です、とか聞いてたのが、私たちが帰国便に乗った途端に雷が鳴ってドワーッ!!って大雨になっちゃって。あくる日の朝、水浸しになったんだって。」
—— 玉木さんたち一行が旅立った直後に…。

玉木「そう。」
酒井「この人、まさにネイチャーとつながってる人、“ネイチャーハック”できる人なんですよ。」
玉木「向こうで会った人たちに、たまたま夏に開催した「たまつり」の時の話をしてたの。」
—— あの日も、日暮れ時からすごい雷雨でエライことでしたねぇ。。

玉木「市の花火大会は中止になったけど、niime村の建物にプロジェクションマッピングで映像映しててそのバックで雷が光って無茶カッコ良くて最高でした〜って話をした直後だったから、また呼んだな…って(笑)。あの時期に雷なんてまず有り得ないって。」
—— “嵐を呼ぶ女”ですね(笑)。

玉木「ウチで別のある打ち合わせの時に納得いかなくてキレて怒り出すと豪雨と雷になるし、でもあなたが悪いわけじゃないからと相手をなだめるとサッと止んだし…(酒井に)“ネイチャーハック”ってそうゆう意味なん?」
酒井「それは極端な例やけど、そうゆう意味。五感で…」
玉木「だから私、自然とつながってるみたいよ。でも一緒だから。…私も越川さんも犬のリモちゃんも土も空も…。地球、宇宙のすべては一緒だからね。」
—— …すべてはつながっていると。

玉木「あなた右手動かしてみて、と言ったら動かせるじゃない?」
—— そうですね。

玉木「一緒よ。「雨降れ!」って言ったら、雨が降るのよ。」
—— そこはちょっと飛躍があるような…。。(汗)

玉木「原理は一緒(笑)。望めば叶う!ピザ屋さんに来てほしいと熱望したら近くに3軒できるのも同じこと。」
酒井「この人がスゴイのは、こんなことが今したいから誰々さんに連絡取らなあかんなぁと思ってたら、向こうから来るんですよ。」
玉木「来るねん!必ず(笑)。」
—— 「呼び寄せ」ってありますよね。

酒井「ほんと尋常じゃなくて、無茶苦茶あるんですよ。」
玉木「それで日々スケジュールが埋まってゆくよな?(笑)。」
酒井「だから、これからは…デジタルをどれだけ駆使したって、人間に備わる物理的なスピードなんてのは限界があるんですよ。」
玉木「今の時代、反対な方向に行こうとしてる。身体はそのままで、頭だけを使って創造力を豊かにしていこうとしてるけど、結局身体が置いてけぼりでは幸せにはなれないのよ。身体が満たされてなかったら。」
—— う〜ん…。。

酒井「そうそう。そんなの、本当の意味での幸福ってゆうんじゃないんよ。」
玉木「本当の幸せってゆうのは身体があってこそ。五感すべてを使ってこそ、心が満たされるのであって。脳のアドレナリンだけ出していっとき幸せを感じたとしても、最終的には空虚なものになっちゃう。」
—— 歓びは体内を通過させることが肝心だと。

玉木「体感して幸せにならないと、なんだかロボットみたいに…」
酒井「PCのキーボードを高速で早打ちしたって何の意味もなくって、よっぽど外に出て風を感じるとか、牛の鳴き声に耳を澄ますとか、歩いてる姿に気づいて「あ、越川さ〜ん!」って呼び掛けて振り向かせるとか、そうゆうダイレクトなコミュニケーションって、僕に言わせれば、まさに“ネイチャーハッキング”なんスよね。」
玉木「でもそれをやるためは、ひとつ皆んなに失ってもらわないといけないことがある。」
酒井「何?」
玉木「パソコンを触らないこと。」
酒井「スマホとかな。」
玉木「私の場合、パソコンを遠ざけるようになってからさっき言ったような能力が身に付いたの。」
—— PCの画面見てないんですか?

玉木「うん。触らない。」
酒井「もう長い間触らんよな。」
玉木「スマホはメールとか、コミュニケーションには使うけど、パソコンの前に座っているとかまずない。それまで一番大きなウェートを占めてたのがパソコン業務だったから。それを止めてから五感が研ぎ澄まされて来た。何かを手放したら何かが入ってくる。」
—— ああ〜…。

玉木「パソコンの疲労がすごかったのもあって、一旦それを閉じてみて、もう皆んなに任せるね、そこは得意な人が多いし。私自身は得意なわけじゃないから、私にしかできないところを伸ばしたいと、動物たちと触れ合うことはするけどパソコンには触れないと決めて。」
—— ここはすごく核心的な話ですね。ここをちょっと深掘りさせてください。結局それって、動物を飼うってことの意味にもつながってくるじゃないですか。

玉木「つながってる。やっぱり、生身の人や動物で何が良いのかを“実験”しないとね。パソコンって情報じゃない?情報には興味がないじゃない?だって、私たちは何かを創り出す人やから。」
—— そうなんですよね。

酒井「デジタルって結局、物質的な実態がないやん。」
—— 確かに脳内完結の世界ですよね。

玉木「ひとつ気がついたのはそこだよね。これからデジタルが更に進化して行って、ヴァーチャルな世界の中で色んなものが作り込まれてそこに多額のお金が絡んでゆく…養老孟司さんが確か言ってたんだけど、そっちの世界でしか暮らさない人たちが沢山出て来たなら、電源切られたとしたら死んだも同然で生きて行けない。電源を抜くことは殺人になるのだろうか?って問いを投げかけてて。それくらい皆んなそっちの世界に吸い込まれちゃってる。愉しいのならやったらいいってことだったけど、未来はどうなんだ!?って、皆んな考えないと。」
酒井「色んな学者とか識者が、決まって今後人間がAIに取って代わられるって言うけど、そんなことは100%ないんですよ。なぜかと言うと、AIには五感が使えないから。自然とコネクトすることはできない。」
玉木「ただ、五感を使わない人には取って代わるよ。今必要なのは五感でしょ!」
酒井「もちろんもちろん。だからこそ、今からそうゆう津波が来るから。今皆んなそこを養おうね、ってこと。」
玉木「そこが大事。何よりも。」
あらゆる事柄がネットの画面上に収束してゆくかのようなこのご時世に抗うように、五感を養い駆使することのtamaki niimeからの提言。それは外に飛び出し動物や自然界と感応し豊かにワクワクと暮らしながら生きることのススメなのだ。

玉木「言ったら、私たちは最初ファストファッションと闘って来たやん。そっちにはできないことをtamaki niimeでやろうと闘って来たけど、これからの時代はそうじゃない。AIにできないことは何なのか?で考えないと、それこそ取って代わられちゃう。」
—— う〜ん…。

玉木「で、私たちが生き残る術はなくなる。」
酒井「しっかりと人間が五感を使えるようになれれば、AIと取って代わられるんじゃなくて、寄り添うことはできるんですよ。」
玉木「そもそもさ、なんで闘わなあかんの?と思わへん??」
酒井「決まって言うやん。AIに取って代わる取って代わるって。」
玉木「羊さんとか見ててみ。朝起きて、草食べて、寝て。また朝起きて、草食べて、寝るの。」
—— シンプルですよね。

玉木「それ以外のことなんもしてないよ。なんで人間はあれもこれも色んなことしてさ、無駄じゃね?って思わへん??」
—— 我がことで言うと、最近ちょっと畑に出てないけど、野菜つくって土触ってたら基本満たされてたわけですよ。

酒井「うん。」
玉木「そうでしょ!」
—— で、極端な話、このまま畑でのたれ死んでもいい、みたいな。

玉木「そうそう、そうなるはずなのよ。」
—— 言わば、他の事って“オマケ”っていうか。横尾さんも「人生は遊び」です、と最近出た本に書いてたけど。

玉木「そうなの!それが絵を描いても文章書いてもいいよ。何をやってもいいけど、“せねばならぬ”ですることじゃなくて。イヤイヤすることじゃなくて。」
—— はい。

玉木「愉しめよ!、と思うねん。そもそも。」
酒井「だから、愉しいからやってしまうんよな。」
玉木「そうねん。やりたいからやる。それだけでいいのに、AIに奪われないように何かをしなければならない…」
酒井「そこを頭で考え込んでああでもないこうでもないとやってるヤツはAIに取って代わられると思う。」
玉木「カシコイことに関してはAIちゃんはできちゃうからね。」
—— …AIと同じ土俵に載っちゃダメなんですね。

玉木「そうなの!」
酒井「膨大なビッグデータをもとにパターン化されて。」
—— それは向こうの思うツボ、みたいな?

酒井「そうそう。」
玉木「まんまと(笑)。」
—— それでお金搾り取られたりして(笑)。

酒井「そこがさっきの話の「下剋上」だったりパンクにつながる。その精神をまさに今こそ持たなあかんねん。」
—— そう考えると、電気の来ない山の中とか無人島に行く方がよっぽど最先端でフロンティアかもですよね。

酒井「そうそうそうそう。パンツも穿かずに裸でさ。」
玉木「裸族(笑)。シカさんと一緒に暮らす。」
酒井「そこを総じて僕は、これからの時代、“ネイチャーハック”や!と。」
玉木「そこにより戻って来るだろうね。」
—— これだけAI、AIって騒いでるところからイチ抜けた、って言う方が過激かも。

酒井「“AI”って皆んなこうゆう読み方できないんですよ、普通に読んでみて。」
玉木「あい。」
酒井「そう。」
玉木「“愛”や!!」
酒井「皆んなそうとは捉えんのよ。AIって“エーアイ”って読むとコンピューターのビッグデータとかロボットとかのイメージを持つけど、AIをフツーに読んだら“愛”ねん。ほんとに本質的な、これから大事なんはやっぱり愛なんや。パンクの熱かった時代も今も変わらないのは愛なんですよ。」
—— そこは不変ですよね。

酒井「不変ですね。パンクにも根底には愛があるんよ。」
玉木「だからこそ…」
酒井「だからこそ、反骨というか、立ちあがろうとするし、訴えかけようとするし。」
玉木「そうだ〜!愛だ〜!!」
酒井「そう。そこが皆んな今欠落してるから、なんとなぁく、ぬるいところにいるんや。」
玉木「なんで欠落してるの??」
酒井「わからん…それこそデジタル化や。そこに甘んじて情報だけ仕入れて頭でっかちになって。」
玉木「頭から情報が入っちゃったから、心が潤ってないのね…。」
酒井「なんかちょっと情報取ったらその気になるやろ?そうじゃないんよ。」
玉木「ゴールが見えちゃうのねェ。。」
酒井「見えちゃう。でも、そんなん全然ゴールちゃうねん。」
玉木「それは“うわべ”のゴールで、ゴールだと思わせられちゃう。」
酒井「言ったら、インターネットなんて映画の『マトリックス』みたいなもんで、ほんとは皆んな寝てるのに仮想現実を見せられてるだけ。」
—— やっぱり、そこからどうやって逸脱、イチ抜けるかですかね。

酒井「そうそうそうそう。これ、無茶苦茶「神回」になるんじゃない?無茶イイトークやと思う。うん。」
玉木「未来を語っちゃった?(笑)」
酒井「語った語った。」
玉木「tamaki niime20周年を目前にして。」
酒井「うん。越川さん、これ長くなってかまわないんで、赤裸々に書いてください。」
—— ほとんどtamaki niimeの話出て来ないじゃないですか(笑)。

玉木「(爆笑)」
酒井「そうそう。」
玉木「これから世界はどうなるんだろうか?」
酒井「そう。でも結局そうじゃない?ウチは「tamaki niime」という名のブランドのカタチで提示してるというだけで。」
玉木「ウチはそこに向けてどうするか、だから。世界を観てるからね。」
—— 「tamaki niime」というフレームを飛び越えて。

酒井「そうそうそうそう。もう完全に“フレームアウト”してますもんね。」
玉木「「niime百科」百回達成記念にはふさわしいんじゃない?」
酒井「そうそう。言い方を変えると、そこまで飛び越えないと、tamaki niimeって語れないよな。」
—— それ、あるんじゃないんですか。もう惑星外イッテル、みたいな?

酒井「そうそうそうそう!宇宙レベルで捉えなかったら、ほんと果てしなく捉えなかったら、tamaki niimeって、語れないんですよ。」
玉木「理解してもらえないからね…。」
酒井「もらえないもらえない。」
玉木「「こんな非効率なことして何なんですか?」って。」
酒井「いまだに言われるもんなぁ。」
—— 言わばこの西脇ってゆう地域の中でものを観ててもダメで、日本という単位で観ててもダメで…

酒井「そうそう。」
玉木「ダメダメ!外に出ないと。私はドバイへ行って来て良かったよ!」
—— 極端な話、地球サイズで観ててもダメで(笑)。

酒井「そうそう。僕がよく言うのは宇宙レベルで俯瞰しないと、物事の本質なんか絶対見えない。」
玉木「見えない!」
—— …今回のゆく年くる年、「tamaki niime」の話を外れてしまったけど、打ち上げた衛星みたいにまた地球に戻って来る、みたいな。

玉木「そう、ヒュ~~~、ドン!!!みたいに、最終的には帰ってくる。」
酒井「帰ってくるよな。ほんとそうやと思う。」
橋本「(カメラを構えながら)酒井さん、もうちょっと寄ってもらっていいですか。」
酒井「うるさい!」
玉木「ちょっと!撮る時だけこっちに寄ってあげて。…無茶近くない??」
橋本「この神回に。」
酒井「そうそう。」
玉木「神回やから乾杯しよ。」
一同「乾杯~~~!!!」

〈続く〉

「niime的未来予想図」。いや、もはやこれは「niime予言」か。。感性と思考を解き放ち奔放に語り尽くしたゆく年くる年・前後編。途中、不詳ワタクシの70’sパンクムーヴメント同時代体験談なんかも挟み込み延々白熱のトークが展開されたその挙句、玉木と酒井の意識はこの惑星をも飛び出した感。。

だが、まだ話はここで終わらない。ドバイの地で玉木が直面した事柄と新たな決意とは?そして再び熱く、更にディープに繰り広げられるアートと表現と己れの解放についてのniime放談。。

「精神的なスピードに限界はない。」(玉木&酒井)

AIを凌駕する、予測不能・“感性”全開、「くる年延長編」新春トーク、更に続きます!!

Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.