niime 百科
Encyclopedia of niime
niime対談
「仕事」と「クリエーション」について
〈後半〉
nime’s talk
About ‘job’ and ‘creation’
〈part 2〉
「仕事」と「クリエーション」について
〈後半〉
About ‘job’ and ‘creation’
〈part 2〉
2020 . 02 . 01
〈前回からの続き〉
玉木「私は酒井の能力を最大限活用してると思ってるし、それは会社にとってもプラスだと思ってるから、自分が答えが欲しいタイミングで彼に「お題」を出して、アドバイスをもらうじゃないですか?」
― 酒井さんのその場その場の柔軟な発想力を引き出してると。
玉木「私は強引にでもしゃべらせて的確な答えをもらおうとするし、それでちゃんと落着させるというのは彼の能力だから、そこを活かさないと会社としてはかなりもったいないんだけど、私に時間がなくて、そんなにスタッフに振る余裕がないんですよ。皆んな悩むんだったらとりあえず、酒井さん聞いてください、どうしたら良いですか?という「駆け込み寺」として使えよ!、っていう話をしたの。」
酒井「うん。」
― とにかく問いを酒井さんに投げかけると。
玉木「そしたら、あ、そんな角度のそういう考え方もあるんだってことがわかるから、もっと自分のクオリティを上げられるし。ただ単なる悩み相談じゃなくって、酒井の存在を、自分が創ってるクリエーションであるとかやるべきことに対するアドバイスを求めに行く場所にするべきだと思った。」
― はい。
玉木「そしたら嫌がられる…それがもったいない。あんた嫌がらんときよ!」
酒井「嫌がってないやん、何も。」
玉木「もぅ、なんて言うの、空気感が嫌がってる。わかる?」
― (笑)。
玉木「酒井さんにはようしゃべり掛けられませんっていう空気やん、皆んな。」
― 近寄らないでオーラ出してるみたいな(笑)。
酒井「そんなつもりはないんですけど(苦笑)。」
玉木「本人自覚はないんですよ。ムッチャしゃべりたいし、ワクワクしたら全然しゃべる人なのに、一見こんな風貌なもんやから、皆んな遠慮してようしゃべり掛けへん。」
酒井「そうなん?」
玉木「うん。」
酒井「…。」
玉木「だからもっとこう、相談室?保健室みたいな。」
― 保健室!(笑)
玉木「お悩み相談乗ります、9時から5時までいつでもどうぞ、みたいな。そうやって「看板」出しといたら、ちょっとこのデザイン悩んでるんですけど、酒井さんどう思いますか?とかもっと相談がどんどん来ると思う。」
酒井「うん。」
玉木「このtaberoomに看板作ってもらおうか?」
酒井「うん…。」
玉木「そこが私の課題なんですよ、彼の能力を会社としてもっともっと活かそうと。」
― ええ。
玉木「せっかく良いアドバイスしてくれるし、投げたら、ああなるほどそんな面白いアイデアあるんだっていうのが返って来るのに。」
― そうでしょうね。
玉木「スタッフと酒井というところのコミュニケーションがいまひとつ機能してないなというのがあって。」
― 酒井さんの場合、全く異なる角度の目線で、ありきたりではない意見が返って来るわけですよね。そこがすごい刺激になると思いますし。
玉木「そうなの。」
― そこで「気づき」があったり。
玉木「そうだ!だからやるの、「深夜食堂」!」
酒井「うん。」
玉木「残業ナシで6時に終わるから、そのあと「深夜食堂」しようと思って。知ってます?『深夜食堂』って映画。」
― 知らないです。
玉木「とある飲み屋街にある、深夜に営業してる食堂なんですけど。」
酒井「カウンターがコの字になってて。」
玉木「大将が真ん中にいて、その時々の食材で何でも作ってくれる…そんな内容なんですけど、仕事の後なんかこのままスッと帰りたくないとか、今日は仕事うまくいかなくて凹んだという人が、コーヒー一杯飲んで帰ろうかというような場をつくれると、もうちょっとスタッフが酒井としゃべれる機会も増えるし、そこで気づきや学びがあって、明日また頑張ろうとなって帰れるなら良いかなと。ねッ?」
酒井「でも、サッサと帰りたい的な風潮はあるよな。」
玉木「だから良いねん。皆んながダラダラと残りたいわけじゃなくて、」
酒井「うん。」
玉木「ホントにちょっと相談したいねっていう人が、ひっそり残っているくらいな感じでいいねん。増えたら結局、話まとまらへんやん?」
酒井「う〜ん。」
玉木「一対一でしゃべってみたら意外と打ち明けてくれるし…だから、向こうから相談させてくださいってほど深刻な感じじゃなくて、ちょっとあの子元気ないな、って人にコーヒー一杯飲んで帰ったら?くらいの声かけをする場が出来たら、もうちょっと変わるだろうなと思って。」
酒井「シゴトの話ってゆうより、なんでもない話がしたいな。」
玉木「すれば!」
― 良いっすね。
酒井「ねぇ?なんか仕事終わってまた仕事の話って疲れるじゃないですか?」
― そうですね。
酒井「僕やったら疲れるから。だったらもう、他愛もない話したいですね。」
― くだらん話とか。
酒井「そう、くだらん話とか。」
― そっちじゃないですか?酒井さんって。役割的に。
酒井「はい。」
玉木「そうだね。」
― なんかこう、“シゴト”って枠にはめるとつまんないというか。
酒井「よく思うんですけど、「仕事」って、今なら8時から5時までの業務ってあるじゃないですか、それも仕事なんやけど、でも「仕事」の定義ってないでしょう?」
― 別に決まってないですよね。
酒井「別にくだらん話だって、言ってしまえば仕事やし。」
― うーん。
酒井「なんだって今はビジネスとして成立する時代やから。」
― そうですね。
酒井「だから…(玉木に)それも仕事やん?」
玉木「いや私にしたらそれも仕事やから。仕事だとか仕事じゃないとか分ける必要もない。ウチの「深夜食堂」で仕事の話をしようが恋愛の話をしようが、ねぇ?人生観の話をしようが、全部が…「仕事」ってゆうか、「生きる」ってことかなって気はする。」
― クリエーションの世界で「仕事」と「遊び」の境界って曖昧だと思いますし。
玉木「あくまでも、就業時間としては6時で終了して、「深夜食堂」は業務外なんやけど。」
酒井「良い意味で、ウチのスタッフは仕事と遊びを混同出来たらいいと思う。」
― きょうび価値観として仕事のオンオフというのがよく言われますよね。労働時間の対価とか…。
玉木「よく言われてることだけど、結局、自分の目先のメリットしか考えてないと、クリエーションの力は伸びないと思う。」
酒井「今の世の中、だいたいの人間がそんな感じやと思うけどな。」
玉木「そうよ。だから今の社会が伸びてないのはそういうことなの。」
― なるほど。
酒井「「安物買いの銭失い」みたいな。目先のちっちゃいことばかりを得よう得ようとするから、もっと大きな果実を得ることが出来ないっていう。」
― tamaki niimeは企業組織でありかつ皆んなでクリエーションしてゆく場なわけですよね。
酒井「僕らの場合、遊びの延長が組織になっただけやから、企業って感覚が希薄なんです。だから、遊び仲間が増えたってゆう感じなんスよね。それをはた目から見たら会社だ企業だってなるんでしょうけど。」
― はい。
酒井「僕、全然、そんな感覚なくって。」
― う〜ん…。
酒井「言ったら、友だち増えたなっていう。」
― 酒井さん、遊ぼう!って感覚が良いのかも(笑)。
酒井「そうなんですよ。暇さえあればスタッフにちょっかい掛けるし。」
玉木「…それで酒井さん、邪魔やなって思われてる。」
― (笑)。
玉木「もぅ、酒井さん邪魔、うるさいって。忙しいんでほっといてくださいとか言われるし。絡み方が小学生でしょ?」
― 酒井さんにしたらそこが入り口なんでしょうね。
玉木「そこで逃げられてんねん。」
― もったいない(笑)。
玉木「もったいない…。」
酒井「なんやろう?僕はずっと童心のまま、ずっと子どものような存在で、ずっと現役でいたいなと。皆んなの仕事を邪魔したいわけじゃなくて、ホントそれこそずっと空気のような存在でいたいなと。オレが代表やからお前ら言うこと聞けよじゃなくて、ずーっとやんややんやちょっかい出してたいな。」
― 何が言いたいのか、わかる気がします。
酒井「今40ですけど、50になっても60になってもちょっかい出す。そんな会社やったら良いなと。」
― 酒井さんって、存在的にも役回り的にもなんてゆうか、「トリックスター」なんでしょうね。
酒井「はい。決して不真面目であろうとは思ってないんですけど、マジメで居れないんですよね。なんか、すぐふざけてしまうんですよ。理路整然と話したがる人からしたら、今じゃないやろというタイミングで話の腰を折る存在だと思うんですよね。」
― 酒井さんのそのちょっかいって、実は何かしらの大事な意味をはらんでいるのかも。
酒井「僕のセンサーがどこかで反応してるんでしょうね。ちょっかい出さな、と。」
― 多分そうなんでしょうね。そういえば、新年最初の「niime百科」の扉のペインティングアートは酒井さんの作なんですか?
酒井「ああ、あれは子どもちゃんです。」
玉木「ウチのスタッフの橋本君とこの天才息子ちゃん。いまtabe roomに飾ってるやつもそう。」
― そうなんですね。
玉木「ムッチャ上手やな、ヤバイわ、と思って。もぅ、子どもを見習えって(笑)。皆んなの描いた絵を飾るのもスタッフからの発案でスタートしたんですけど、自分の息子の作品観てヤラれた、と思ったらしくて。スゲェと。」
― 息子さんの絵の才能にビックリしちゃったと。
玉木「やっぱ、自分の発想を超えたんだろうね。決められたルールの中で決められたものを描くっていう子が多い中で、ほんとバクハツしてる子はバクハツしてるんですよ。」
― そこを大事にして、損なわないようにしないとですね。
玉木「そこを伸ばさなアカンねんな、ってことをウチらも再認識出来たから。あ、そうか、皆んなもともと持ってたんだと。」
― はい。
玉木「生活環境で無くされちゃった。」
― 酒井さんがいつも言ってるのはその話ですよね。
玉木「そうそう。(酒井に)なんであんた無くさへんかったん?人の言うこと聞かんかったからか?」
酒井「聞かんかったな。性格やと思う。あと今、なんか皆んな“情報中毒”ってゆうかさ。」
玉木「どこの誰にもない発想があるんやからさ、それを見せつけないと。」
― そこで人はハッとすると思うんですよ。
玉木「そう。「あたりまえを疑え!」ってこないだLabの入り口に書いたやん?」
酒井「うん。」
玉木「かなりのお客様があれに引っかかってんねん。それを観てハッとした、って言う方が多い。そんな仕掛けを、365日なんでもいいから一個するって決めてくれたら、ウチは365日でだいぶ変わる。」
― 何らかの…
玉木「方法論はなんでも良いから。そしたら1年後にこの会社は皆んなが触発されてると思う。」
― ジワジワ効いてくるみたいな。
玉木「ジワジワと効く。そうしよっ!ルーティンワークがほんとダメで、やらされるのもダメなの…でも同じことじゃなかったら出来るやん?毎日一個ずつね…(酒井の顔を見ながら)あんたもう疲れてるやろ?」
酒井「疲れたというか、よくしゃべったなと。」
酒井の計り知れない能力を十全に引き出し“触媒”としてtamaki niimeのクリエーションをバクハツさせるためには?ここでも玉木の実験は続く。今年に入って新たにスタートした酒井ならではのライブ感溢れるYoutube番組『tamaki niimeの日常』に注目しつつ、今後の動向を追いたい。
書き人越川誠司
——You believed you have drawn out Mr Sakai’s flexible imaginations from time to time, right?
——All you need to do is state your questions to Mr Sakai, correct?
——I see.
——(laugh)
——You mean he has “Don’t talk to me (now)” written all over him? (laugh)
——School nurse’s room! (Laugh)
——I see.
——I agree.
——Mr. Sakai would respond with very distinctive sense and opinions which would stimulate them.
——That would give people be aware of something.
——I don’t.
——That sounds good!
——I think so.
——Nothing important?
——That sounds more like you, Mr Sakai. It fits more your role.
——If you cannot work freely, it gets boring.
——You are right. There is no definition.
——Ummm.
——You are right.
——In the field of creation, it is vague to have a separate line between “work” and “play”.
——Nowadays, people often discuss separating work and non-work time. Like the value of working hours? What compensation is given for that time?
——I see.
——“tamaki niime” is the enterprise organization, yet it is also the place for creation with everyone.
——I see.
——Hmmm.
——You prefer the feeling like “Mr Sakai, let’s play!”, right? (laugh)
——(laugh)
——He tries to get closer to them when he teases them.
——It is a shame. (laugh)
——I think I understand how you feel.
——Mr Sakai, you’d like to be a trickster as being yourself or playing your role?
——Your teasing may have some meaning.
——Probably. By the way, did you paint the art on the top of the new year first article of “niime encyclopedia”?
——Oh, I see.
——He was amazed at his son’s art talent, right?
——We have to treasure them and need to keep an eye on them so as not to lose their talent.
——I see.
——That’s what Mr Sakai has been talking about, right?
——People would be surprised when they are aware.
——Anyways…
——It would work little by little.
How do we draw Mr Sakai’s immeasurable ability and use him as “a catalyst“ to initiate the acceleration of the creation of “tamaki niime”? Tamaki’s experiment will be continued. We look forwards to watching their movement in Sakai’s lively YouTube “tamaki niime’s daily life”, which has started just this year.
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.