niime 百科
Encyclopedia of niime
niimeゆく年くる年 2022-2023
<ゆく年編>
The Years End and a New Beginning in 2022-2023
<ゆく年編>
2022 . 12 . 31
12月7日。“tamaki niimeのお母さん”として皆に親しまれ愛された酒井初子さんが逝去。
その日、いつものようにスタッフの昼食を用意した後、疲れを感じ早退した夕方のことだった。
急な訃報に接し葬儀は初子さんに感謝の想いを込め社葬として、「初子さんありがとうの会」と命名、彼女の持ち場だったtabe roomを会場に、12月11日のお通夜と12日の告別式の両日、スタッフの手により執り行われた。
tamaki niimeが西脇に拠点を移しShop&Labを本格スタートさせた頃からのメンバーであり、玉木・酒井と一緒にブランドづくりに尽力してきた、まさに“tamaki niimeの母”だった初子さん。美味しくて滋味深いお昼ごはんは、スタッフたちのクリエーションの活力の源となってきた。
ゆく年2022年の最後の「niime百科」では、
追悼と感謝の意を込めて、初子さんのことを酒井・玉木とともにあれこれと語り合い、ここに記しておきたい。
玉木「ゆく年くる年。まず、酒井さんからひと言。」
酒井「ゆく年については皆さんもご存知のとおり、ウチのオカンが亡くなって。衝撃の12月7日。」
玉木「少しは落ち着いた?」
酒井「そうやなぁ。まぁ、なんやろう?あの、『初子さんありがとうの会』。あれが僕の中では“集大成”というか。母を送り出す、全身全霊の想いというか。」
—— はい。
酒井「やったんで、なんかもう、想い残すことがないというか。ズルズルと寂しい寂しいということもないし…僕にとってはなんやろう、母はずっとそれまでは普通に仕事してきたわけだけど、最後の最後でそういうことになって、オカン、お疲れさん、と思ったし。」
玉木「初子さんがどんなひとだったかをこの場で語れたら良いんじゃない?…達雄さん(玉木の父)が亡くなった時は、達雄さんってこんなひとだったんだよって、ひとしきり語ったよね。」
—— …そうでしたね。
酒井「なんやろうな、初子さんこうゆうひとって言うと難しいけど、“ざっくばらん”なひとやな。気分屋やし、」
玉木「それもそうだけど、tamaki niimeにとっての初子さん。ほら、初子さんのことを、皆さんが皆さん知ってるわけじゃないから。」
酒井「初子さんは…」
玉木「この西脇にやってきた時の最初のメンバーで、店長からスタートしたの。」
—— 最初玉木さんと酒井さんと初子さん。3人体制でしたもんね。
玉木「ね?私はモノをつくる人、酒井はそれを世界に広める人。」
酒井「うん。」
玉木「初子さんは来られたお客様をお迎えして、一番似合うモノを提案してくれる人。そんな、3人それぞれが異なるミッションを持って同時に動いてたから、あの頃はすごい速いスピードでうおおぉ!!…ってなって。」
酒井「ほんと色んなことが…目まぐるしく変化したよな。」
玉木「初子さん、“母”やからごはんもつくってくれてんね。」
—— 「589」と呼ばれる小さな建物にいた、初期のあの時期が、tamaki niime「Shop&Lab」の原型でしたよね。
玉木「そうですね。」
酒井「うん。そうですそうです。」
玉木「力織機も入れることが出来たし。」
—— tamaki niimeの一番ミニマムなカタチ、ユニットというか。
玉木「最小限の最短・最高…」
酒井「最小であり、最強やったよな?ある意味。」
玉木「いやぁ〜…。なんの計画をしてるわけでもないのに。」
—— トライアングル的な。
酒井「そう。」
玉木「ほんと、レシーブして、トスして、アタァ〜ックッ!!みたいなのをずっとやってた!」
—— なるほど。それ、ホントわかりやすいですね。
玉木「それで、ワァー現金が入った〜焼肉食べにいこう〜って3人で行ってたんやな。」
酒井「そうそうそうそう。そうゆう生活やったな(笑)。」
玉木「でも、その頃からカード払いのお客様が増えてきてたから、なかなか手元に現金が少なかったんやな。」
酒井「少なかったな。」
玉木「西脇に来て、初子さんと一緒に始めて12年…ひとまわりだね。」
酒井「だから会社では色々とあるけど、オカンとの想い出語れと言われても、なかなか出て来んよな。」
玉木「それが想い出やん!」
酒井「あ、そうか。」
—— “tamaki niimeの母”である初子さん。そこは公私の隔てなく一体の“niime暮らし”と言いますか。
酒井「そうですね。ほんとそうですね。」
玉木「スタッフが増えて来てから、Shopの方じゃなくて、皆んなのごはんをつくってもらう担当になって。」
酒井「それは前の上野の時からやな。今の『tabe room』というか“はっちゃん食堂”に比べればまだまだささやかな食堂やったけど。」
玉木「上野のShop&Labが出来てはじめてキッチンをつくれたから。」
酒井「アイランドキッチン。」
玉木「そう。そこで初子さんにごはんをつくってもらって、スタッフ皆んなが食べるっていう…今の原型が出来たの。」
—— 基本的に初子さんの役割としては、ごはんをつくって、見守ってくださってる、みたいな感じでしたか?
玉木「まぁ、皆んなのお母ちゃんって感じだったよね。特にここ最近は。」
酒井「うん。」
玉木「tabe roomって皆んなが必ず寄る、休憩するスペースだから、皆んながそれぞれに…人生相談だったり、初子さんも悩みを打ち明けたり、よくしゃべってたよね。」
酒井「しゃべってたな。」
玉木「…だから、皆んなとそれぞれに想い出があるみたいで。」
—— そうですね…。
玉木「ほら、tabe roomってすべてのチームがやってくる集合の場になるから、この“肝(きも)”な場所を誰が守るかってすごく大事で。それをずっと初子さんが守り続けてくれてたからこそ今があって。」
—— はい。
玉木「しかも、それって“美味しいごはん”っていうひとつの…」
酒井「うん。」
玉木「一番大切なもの。食べるものによって人は出来てるから、そこを担ってきたという意味では、tamaki niimeの要だった。」
酒井「うん。」
玉木「だから、初子さんがいなくなっちゃったことでこの場がどうなるのか、分解しちゃうんじゃないかと不安もあったんだけど、皆んなで話し合いもして。」
—— 突然のことでしたしね…。
玉木「ごはんを自分たちで準備するために業務に支障が出ましたとなったら、何やってるのかわからないから。初子さんの代わりはいない以上、当番制で皆んなでやろうとか色んな案が出たのよ。」
—— う〜ん…。
玉木「でも、そんなことならやめた方がいいって私は言ったの。たぶん業務に支障が出るし、当番が回って来たからとイヤイヤつくられても、食べる人も美味しくないから。そんなんまでしてやる必要はない、だったら皆んな弁当にしよう、って言ったの。」
—— はい。
玉木「そしたら、ひとりのスタッフが、嫌だーッ!!って。この初子さんがつくった場所を、暗く澱んだ場所にはしたくないから、tabe roomをつなぎたい、って。で、当番制にはしない、有志でやる。業務もしっかりとやりながら、ここもちゃんとやりたいって人たちだけで回すから。もしここを担える次の人が入ってきた時にはスッと渡せるように、この場をつなぐ!!って言ってくれたから…。」
—— ふうぅ〜ん……。。
玉木「がんばってね。。…ありがとう!!…って感じやな。」
酒井「うん。」
—— ……素敵ですね。
酒井「なんか思うのが、人ってさぁ、オカンが生きていた時はたくさんの“履歴”を残していったやん。でも亡くなった時点で、それがすべて“歴史”になるやん?」
玉木「うん。」
酒井「ガラッと。なんか重みが変わるよな。亡くなった時点でその存在の重みが変わりますよね。そこに気づくし、そのことに対してありがたみも感じるやろうし、もちろん感謝もするやろうし。」
—— うん…。
酒井「もう再現できないし、もうつくってもらうことができない、幻の味ってゆうかさ。」
—— ……。
酒井「まぁでも、天才料理人でしたよ。あの人は。」
玉木「…ほんっとに、上手いのよ。真似できない。」
酒井「天才的に上手かったな。今思っても美味かった。」
玉木「ねっ。」
酒井「まぁ今も実感ないけどな。オカン休みやろ?ぐらいやもんな。」
玉木「(笑)。一生そうなんだよ。達雄さんの時もそうだったからね。またふらっと来るんじゃない?とかって言って。……でもほんとありがたいね。」
—— 酒井さん的には、幼い頃から慣れ親しんだ“おふくろの味”であり。
酒井「そうそうそう。僕の物心ついた時からの味っす。ハンバーグなんか特に、うん。物心ついた時にはそのハンバーグ食べてたし。煮っ転がしとか煮物系は、ばあちゃんの味なんですけど。」
玉木「子どもの頃、キッチンでね、横でじぃっと観てたんだって。」
酒井「うん、オカンがつくるのを僕が観てた。あんた邪魔やといつも言われながらいや観たいからって。」
玉木「だからつくってくれたらいいなと思うのよ。」
—— 酒井シェフが…。
玉木「味の違いだけはわかるからね。もうちょっと味をこうした方がいい、とかは言うんですよ。」
—— ああ、なるほどね。
玉木「でも自分ではやらないんですけど。」
酒井「なんか初子さんが、オカンが、というのはあるんですけど、第2の初子さんっていっても、初子さんみたいな人が来てくれることはないし。」
—— tabe roomのこれからについての先ほどのお話でも、初子さんの不在という事実の重みと痛みをしっかりとスタッフ皆さんで受け止めて、代わりはいない、というところでどうする、っていう…
玉木「最初はね、初子さんのレシピを復活させようとか言い出したの。かつて一緒に調理してた人たちに作り方訊いて追おうとしたんだけど、いや絶対やめた方がいいって。絶対、できないから。」
酒井「無理無理無理無理。」
玉木「絶対そんな簡単なもんじゃないから初子さんがつくってきた料理って。レシピどおりにつくったって出せないくらいの味だから。それやると、どっちもガッカリするのよ。つくる側も食べる側も。あぁ、やっぱり初子さんのが美味しい、って誰も幸せになれないから。気持ちは継げば良いけど、初子さんの真似はするなって言って。」
—— う〜ん…。。
玉木「皆んなはそれぞれ食べてきた自分が美味しいと思う料理をつくればそれでいいんだ。似せようとするなって。」
—— 初子さんの料理の代わりにはならないと。
玉木「そりゃ、もちろん自分が個人的に再現してみたかったらレシピをもとにやってみたらいいんだけれど。…初子さんのお料理ってほんと美味しかったよね…ってことで良いじゃない。」
酒井「ウチの天才シェフな。天才食作人。」
生前、「niime百科」での取材時のこと、昔からわが家で手がけてきた家庭の味をもとに、いつもその時々の瞬時の“ヒラメキ”を加えて、愉しみながら料理している、そんな風に答えてくださった初子さんのことを思い出す。
—— インタビューで初子さんにお訊きした時にも、その辺りの“さじ加減”みたいなところをお話ぶりから感じましたね。色んな料理本を見るのも大好きで、そこからああしようこうしようとヒントを得ることもあるとも。だけどなんというか、レシピがあったとして、そこから“初子さん流”が始まるみたいな。
酒井「うん。そうそうそうそう。」
玉木「これちょっとこうね、って現場でどんどん変えてゆくから(笑)。」
—— こりゃレシピあっても意味ないな、みたいな。
玉木「ないない。」
酒井「オカン、料理で分量計ることなかったもん。」
玉木「ないない。もう邪魔邪魔!だもん。あ、それぐらいそれぐらい!…って、どれぐらいやねん、っていう(笑)。わかんね〜ってなるな。ほんと感覚やな。」
酒井「絶妙の感覚、あったよな。」
玉木「でも昔の人ってたぶん皆そうやって引き継いで来てて、舌の味覚と身体で覚えてるから。計量器なんてないもんね、昔は。感覚の方が自然で、自然の中に計りなんてないもの。」
あらかじめ“お膳立て”されているのではない。代々受け継いできたものを活かしつつ、その時々・その場での色んな条件や感覚を溶かし込んだ、“一期一会”であり再現不可能な、初子さんならではの、母の味。
その一回性のかけがえのなさ、有り難みと愛おしさは、tamaki niimeならではの創造のありかた・一点モノの作品たちにも通ずるものだろう。
玉木「初子さんに、ひとこと。どうぞ。」
酒井「ありがとうやな。皆んなを代表して、オカンありがとうやわ。…ほんとにお疲れさんでしたやな。」
玉木「『初子さんありがとうの会』もありがとうやな。」
酒井「ほんとありがとうやし、お疲れさんでしたやわ。そのふたことに尽きる。」
—— ……。
玉木「なんか、今まで色んな『イベント』してきたでしょう?その集大成みたいだった。」
酒井「ほんっと、集大成やったな。」
玉木「植田が司会をして…」
—— 植田さんの司会の声よかったですね。
玉木「ほんとよかった。心からの声で…。皆んながそれぞれに役割を持ってね、皆んなで初子さんを送ろうってゆう…。だから、初子さんいなくなって寂しいのよ。寂しいんだけど、皆んなで初子さんを送れたっていう、この温度感も、無茶苦茶あったかかったから。」
—— …そうですよね。
玉木「なにか形式ばったカタチで送りたくはなかったんだけど、今回の初子さんに関しては、そこを全部取っ払ってね。」
酒井「うん。」
玉木「niimeらしい、よい送りかたが…」
酒井「ほんとtamaki niime流やったな。」
—— ここの場所で、というのもよかったんだなと思いました。このtabe roomが初子さんの職場でもあり表現の場でもあり…
玉木「生きた証だから。」
—— そうですね。ほんとそう思いました。
酒井「あとは遊び場やね。」
—— 初子さんのあったかさは、ずっとここに残っていくんだと思います。
玉木「でも、お母ちゃんがいっぱい出来たのよ。」
酒井「オレのな。オレのお母ちゃん。」
玉木「酒井の。皆んな酒井くんを心配して。皆んなでお母ちゃんの代わりしてくれてるねん。」
—— あ、そうなんですね(笑)。
玉木「酒井さん酒井さんって、なあ?。ごはんつくったけど食べる?って。よかったねぇ、愛されててねぇ。」
—— それはよかったですね。
酒井「やっぱオレって甘ちゃんやからさ。」
玉木「“ポンコツ”だから。」
酒井「そう、“ポンコツ”やから、皆んなが助けてくれようとするんよ。」
玉木「それは感謝やなぁ。」
酒井「今までもそうやったし、これからもきっとそうやしさ。…でもアレやな、前にも言ったけど、そういうひとつひとつのささいなことに有り難みを感じて、尊く思って…ってことやな。」
—— はい。
酒井「あることがむずかしい、あたりまえの反対はありがとうじゃないですか?」
—— 確かに…。
酒井「“あること”って、ほんとあたりまえのことじゃないから。そこを皆自覚してね、次の『くる年』を迎えてほしいなって思います。それは初子さんの想いも乗せてね。そう思います。」
書き人越川誠司
On the seventh of December, 2022, beloved Ms Hatsuko Sakai, the Mother of ‘tamaki niime’, passed away. That happened on the evening of the day she left work early, feeling tired after making lunch for the staff as usual.
In their sudden grief, they had a company funeral with much appreciation for her, and it was called, ‘Thank you, Hatsuko’. Her viewing on the eleventh and funeral on the twelfth of December took place in the ‘tabe room’ where she worked.
She was one of the staff since ‘tamaki niime’ was moved to Nishiwaki when opening the Shop & Lab, and she worked hard together with Ms. Tamaki and Mr. Sakai. She was indeed the Mother of ‘tamaki niime’. Delicious bottomless, tasty lunches have been the original energy for the staff’s creations.
In the last ‘Encyclopedia of niime’ in the end of 2022, I would like to talk about her with Mr. Sakai and Ms.Tamaki and write them down here with mourning and gratitude.
Tamaki: The years end and a new beginning, Mr Sakai, would you like to speak first?
Sakai: As you know, at the end of the year, it was shocking that my mom passed away on the seventh of December.
Tamaki: Do you feel better now?
Sakai: Well, what can I say? The funeral of ‘Thank you, Hatsuko’ was a culmination that I sent out to my mom with my whole body and soul.
—— I see.
Sakai: We have done it. I have no regrets anymore. I won’t linger in sadness. My mom had been working and was gone at the last minute. I really appreciate her hard work. That’s how I felt.
Tamaki: Why don’t you tell us what kind of person Hatsuko was? When my dad Tatsuo passed away, we talked about him for a while… what kind of person he was.
—— Yes, we did.
Sakai: Well, it’s hard to describe what kind of person my mom was…she was frank and temperamental.
Tamaki: I think so, but some people don’t know her as part of ‘tamaki niime’.
Sakai: Hatsuko is…
Tamaki: She was the very first member when we came to Nishiwaki and started working as a store manager.
—— First, you were a group of three people, Ms Tamaki, Mr Sakai, and Hatsuko.
Tamaki: Yeah, I was the person to create things, and Sakai was the person to spread to the world.
Sakai: Yeah.
Tamaki: Hatsuko was the one to welcome customers and suggest the products which fit them. Each of us had a different mission and worked simultaneously. So we worked so fast.
Sakai: Yeah, many things changed rapidly.
Tamaki: Hatsuko made meals because she was a mom.
—— You were in the small building called ‘589’, the original shop of ‘Shop & Lab’ of ‘tamaki niime’.
Tamaki: Yeah.
Sakai: Yeah, that’s right.
Tamaki: We even got a power loom.
—— It must have been the smallest shape of ‘tamaki niime’.
Tamaki: It’s the smallest, shortest, and the best…
Sakai: It’s the smallest but the strongest in a sense, right?
Tamaki: Yeah, even though we didn’t plan to do anything.
—— We worked in a triangle.
Sakai: Right.
Tamaki: We worked like this; receive, toss and attack.
—— I see. It makes sense.
Tamaki: When we got some cash, we said, “let’s go out to eat yakiniku!” So the three of us went out to eat.
Sakai: Yeah, yeah, yeah, yeah. That’s how our life was. (laugh)
Tamaki: Around that time, customers who paid with cards increased; that’s why we didn’t have much cash on hand.
Sakai: No, we didn’t.
Tamaki: It’s been 12 years since we started working in Nishiwaki with Hatsuko.
Sakai: So we had many things at work. But when I was asked to talk about memories with her, I cannot recall anything.
Tamaki: They are your memories with her.
Sakai: Is that right?!
—— Hatsuko was the Mother of ‘tamaki niime’. She lived with ‘tamaki niime’, and her life had no separation between public and private.
Sakai: Yes, that’s true.
Tamaki: After we increased the number of workers, she became responsible for cooking for the staff instead of working at the shop.
Sakai: She started working as a cook at the Ueno shop we used to have, which was much smaller than the ‘tabe room’ or ‘Hacchan Dining.’
Tamaki: We could have a kitchen for the first time at Ueno because we finally got the ‘Shop & Lab’.
Sakai: It was called ‘Island Kitchen style’.
Tamaki: Yeah, Hatsuko cooked there. That’s how we got our original dining style where everyone gathered.
—— Basically, her role was making meals and taking care of everyone, right?
Tamaki: Yes, she was like a mother to everyone, especially in recent years.
Sakai: Yeah.
Tamaki: ‘Tabe room’ is the place for gathering to rest, so everyone consulted with each other. Hatsuko also opened up about her worries and chatted.
Sakai: She chatted a lot.
Tamaki: …so everyone looks like they have their own memories with her.
—— I think so.
Tamaki: Well, ‘tabe room’ is the central place where everyone gathers. So it was essential to keep this place by someone. We still have it here because Hatsuko had been working to keep it.
—— I see.
Tamaki: It was kept with ‘delicious meals’, which is one of the…
Sakai: Yeah.
Tamaki: It’s the most important thing. Because we were living with food, she was the main person dealing with that.
Sakai: Yeah.
Tamaki: So we are afraid that this place might be dismissed because Hatsuko is gone, but we discussed it.
—— Because it was a sudden incident.
Tamaki: If preparing our meals interfered with our business, it doesn’t fit its purpose. Since there’s no substitute for Hatsuko, we had some ideas like taking turns making meals.
—— I see.
Tamaki: But I said that we shouldn’t do it because it would interfere with our business, and if assigned staff makes it because of his or her turn, we won’t enjoy eating it. So we don’t have to do it with such efforts. Instead, we can buy lunch boxes.
—— I see.
Tamaki: Then one of the staff said, “No, I don’t like it! I don’t want this place to be dark. I want to keep the ‘tabe room’ because Hatsuko created it.” So we don’t only cook by assigned people, but by people willing to do it. So she said she wants to keep this place until we have the next person to take care of it.
—— I see.
Tamaki: I feel like, “Oh, thank you!!”
Sakai: Yeah.
—— … that’s so sweet.
Sakai: When she was alive, she left many performances, but when she died, all those things she did become her history.
Tamaki: Yeah…
Sakai: It is dramatically changed. When people die, the value of their existence is altered. We become aware of their worth and appreciate them.
—— Yeah…
Sakai: We can never experience it again and have her cook for us. They become mythical tastes.
—— …
Sakai: Well, she was a genius cook. Absolutely she was!
Tamaki: …they were outstanding. No one can imitate her.
Sakai: She was a genius in cooking. Even now, thinking back, they were so good.
Tamaki: Yeah.
Sakai: I still can’t believe she’s gone. Feels like she is taking a day off…
Tamaki: (laugh) You may feel like that throughout your lifetime. When my dad passed away, you felt like that, too, telling me that he would stop by sometime…anyway, I am so grateful for them.
—— For you, Mr Sakai, they are the taste of mother’s cooking which you have been so familiar with since childhood.
Sakai: That’s right. They are the taste I got used to since childhood, especially for hamburgers. When I think back, at a young age, was that hamburger taste. The dishes like simmered potatoes or simmered ones are my grandma’s recipes.
Tamaki: When you were a child, you watched her cook by her side in the kitchen.
Sakai: Yeah, I was always watching my mom cooking. Even though I was told I was in the way, I said to her that I wanted to watch.
Tamaki: So I want you to cook for us.
—— You want a chef, Sakai.
Tamaki: He knows the difference of tastes, telling us to do with the taste in this way.
—— Oh, I see.
Tamaki: But he doesn’t cook.
Sakai: I know my mom would do it this way, but we won’t have a person like the second Hatsuko.
—— In the discussion of the way for ‘tabe room’ from now on, all the staff accept Hatsuko’s absence and pains, knowing there’s no substitute for her and then what are you going to do.
Tamaki: At first, we talked about using her recipes, trying to ask the people who used to cook with her, but they insisted it’s absolutely impossible.
Sakai: There’s no way.
Tamaki: It’s not easy to get her flavours even though we follow her recipes. If we do that, both sides will be disappointed — for people who cook and eat. On the other hand, no one would be happy knowing Hatsuko’s flavours are much better than that. We could take over her spirit but shouldn’t follow her ways.
—— I see.
Tamaki: It’s all right if you cook the dishes that each of you likes that you have been eating. You don’t have to imitate what she made.
—— You can’t make the ones like her.
Tamaki: Of course, if you really want to make her flavours personally, you could try to cook her recipes. But we concluded that Hatsuko’s cooking was beautiful, and that’s all.
Sakai: She was our genius chef. Genius food creator.
—— During her life, I remember interviewing her; she said that she enjoys cooking with her inspirations at moments based on the home cooking she has been making for a long time.
Hearing her in the interview, I felt she knows precisely how much to put in to bring out the best flavours in cooking. She also loved reading cook books and got hints for cooking. However, what can I say? Even though she got recipes, her unique way of cooking would start from there.
Sakai: Yeah, that’s right, right, right.
Tamaki: Talking to herself, “well, it should be this way.” She was changing methods during cooking. (laugh)
—— Having a recipe doesn’t mean anything.
Tamaki: That’s useless.
Sakai: My mom had no need to measure in cooking.
Tamaki: Never, ever. That’s too much trouble. She goes, “that’s about it”. We didn’t know how much it was. (laugh) We don’t know. It’s just her measurement.
Sakai: She had an exquisite sense of cooking.
Tamaki: But the people back in time took over such senses and remembered with their understanding of the tongues and bodies. They didn’t have measures and scales in the old times. So it’s natural for them to measure with the senses. There are no measurements in nature.
There is no arrangement beforehand. Instead, making use of the things taken from generation to generation, melting with all requirements and senses at the right moments and places, only Hatsuko makes her own ‘mother flavours’ which would never be repeated, a ‘once-in-a-lifetime’ chance dish.
One-time irreplaceable, thankfulness and preciousness, they have something in common in one-item products, the way of creation of ‘tamaki niime’.
Tamaki: Please give a word for Hatsuko.
Sakai: I want to say ‘thank you’. Representing everyone, thank you so much, Mom. Please rest well because you worked hard.
Tamaki: I also appreciate having the ‘Thank you, Hatsuko’ gathering.
Sakai: We really appreciate her, and thanks for her hard work. That’s everything we want to say to her.
——…
Tamaki: We have had many events so far, and this was its culmination.
Sakai: Yeah, it was the culmination.
Tamaki: Ms Ueda was the master of ceremonies.
—— Ms Ueda’s conducting voice was good.
Tamaki: It was excellent. With her heartfelt voice…everyone had a role and sent her off. Even though we are sad, we feel very warm because we all sent her off together.
—— I think so.
Tamaki: For Hatsuko’s funeral, we didn’t want to have a formal style to send her off.
Sakai: Yeah.
Tamaki: We wanted to do it our way, more like niime style.
Sakai: It was really a tamaki niime style.
—— I think you chose the best place right here. This ‘tabe room’ was Hatsuko’s workplace where she expressed herself…
Tamaki: Here’s her life testimony.
—— That’s true, I really think so.
Sakai: And it’s also her playground.
—— Hatsuko’s warmth will stay here forever.
Tamaki: But we have more Moms here.
Sakai: Mine. My moms.
Tamaki: Yeah, Sakai’s Moms. Everyone worries about Sakai and takes care of him like his mom.
—-Oh, I see. (laugh)
Tamaki: Everyone says, “Hi, Mr Sakai”, or “I made some meals. Don’t you want to eat?” You are so lucky. You are so loved.
—— That’s great.
Sakai: I am a spoiled child.
Tamaki: You are spoiled.
Sakai: That’s right. Because I am spoiled, that’s why everyone tries to help me.
Tamaki: You should be grateful.
Sakai: I have been and will be like that…well, just as I said before, I should be grateful and respectful for each small thing.
—— I see.
Sakai: It’s not ordinary to possess. The opposite of normal is, grateful, right?
—— You are right.…
Sakai: ‘Having something’ is not ordinary. Everyone, I want you to know that. I hope you welcome me next year with your love for Hatsuko.
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.